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フィンガーオブホープ finger of hope

※例の事件のあと、薬指を失った萩原の表現があります。身体の一部がなくなっても、まだそこに存在するかのような感覚があると聞いたことがある。そこにないはずなのに痛みがあることを、幻肢痛と言ったりするらしい。入院中は、包帯で巻かれていたせいもあり…

大雪

 原案・監修:灰島著者:四ツ屋「帰りたくなってきたな」 所内の窓際から外を眺めながら呟いた。数年に一度あるかないかというレベルの大雪で、警報が発令されたと聞いた頃だった。どんよりと暗い空は悪化していくばかりで、こんな状況では出動も…

花火大会

原案・監修:灰島著者:四ツ屋  人の行き交う会場は気を抜いているとすぐに過密した客の滞留が起きて事故につながる。萩原は隊長から言い含められていたことを思い出し、内心でため息を吐いた。事前の会議で伝えられた過去の事故事例は、二十年も…

重防!

原案・監修:灰島著者:四ツ屋   うららかな春の午後。やわらかな日差しと緑の匂いを含む風に包まれて萩原はあくびを噛み殺した。暇を持て余しているように見えるが、本日はもちろん仕事である。これが休みで、恋人とのんび…

Eine geheime Basis

高校二年の夏休みに暑さでやられた俺達は付き合い始め、キスを経て手で抜きあう関係になった。お気に入りのローションをお互いの手に塗りたくって擦る。情けない話だが、いつも俺のほうが先に終わってしまう。だって、じんぺーちゃんの手つきがやらしーんだも…

リレー小説【ホラー編】

■松萩第1回リレー小説参加者、801、705更新頻度、気が向いたらすけべなしこの話にはホラー要素が含まれていますグロはないです。801「松田ってさぁ、幽霊とか信じてたっけ」 松田の隣で喫煙中の萩原が唐突に言った。視線は煙を見ているようで、そ…

希む朝

爆発事件により、長く眠りについた萩原と、捜査一課に所属する松田の話。松萩ですが、主に高木と事件を追いかけています。高佐の表現あり。じっくり重い話を読みたい人向け。  1 仄暗い病室で、かつての相棒の命の鼓動を松田陣平は聴…

警察学校時代「蚊」

赤く膨れている虫刺されの痕を、誰よりも先に見つけたのは松田だった。長く伸ばした襟足の隙間から、ぽつっと小さな膨らみが覗く。痒みが引いていないのか、たまに指先で掻いているため、さらに赤みが増してゆく。冷房がさほど効かない教室内は、人の密集した…